『在日徒然抄』 (10) 鄭 煥麒 名誉顧問
   
ざいにちつれづれしょう
在日徒然抄
河出書房新社
初版発行
2002年 10月10日
千年紀と民族の悲願

時計が西暦2000年を刻んだ1月1日、元旦のテレビはバチカン大聖堂の壇上に輝く白い法衣(ほうい)を映していた。

法衣をまとったローマ法王ヨハネ・パウロ二世は、新しいミニュアム(千年紀)を世界とともに祝った。
「グローバル文化は人類に驚異的な飛躍の機会をもたらす。それを生かすには人間性が優位に立つ必要がある。
国家やほかの価値に従わせるような思想は放棄しよう」と法王は世界に向かって呼びかけた。
国家より個人を優先する社会に、人類の大きな可能性を見るのだと。

新時代はグローバル時代の到来である。法王の言葉の通り人々は「国」を軽々と越えて走り出した。
地球も宇宙から見れば、国境は見えない。
私たちは国に縛られず、国家や民族を跳び超え、新天地を求めて世界を翔る自由な個人だ。
ニュー・ミレニアムの主役は、フロンティア精神の「地球人」である。

「地球時代の到来」と言われる世界のなかで、所詮かなわぬものと知りながら、その潮流に逆らいあがき続ける
北朝鮮の政権、いったい国民をどうしょうというのか、罪のない民をどこまで苦しめたら気が済むのか。私にはわからない。

北政権は一日も早く、新時代の地球国家の一員として恥ずかしくない国家体制を確立しなければならない。
それは今や、地球的義務である。

そのためには、速やかな南北の合意のもとに、一つの体制をめざし、平和統一が達成されなければならない。
そこには南北7000万人の民主的な一大工業国家が出現するのだ。

まさに21世紀に向かって、民族が半世紀わたってもち続けた世界的な夢の実現である。
そして一つになった大きな力を世界の平和と発展に尽くすことができたら、なんと素晴らしいことだろう。
韓民族の誇りと幸せのためにも、一日も早い南北統一を願う思いは切である。(民族の誇りと国際化から)