生みの親韓国 育ての親日本(9)  株式会社高電社 会長 高基秀
石の上にも20年

こうなってくると、これまで高電社の仕事に関心を持ってくださっていた人々が、
様々な形で私たちの業績を高く評価し、また広く紹介してくださるようになりました。

昨年の10月に日本政府主管の情報化月間推進会議から「優秀情報処理システム」表彰を受けたのを皮切りに、
郵政省の外郭団体である通信放送機構からは、文字放送の翻訳システム開発の委託をいただきました。

韓国においては、韓国放送公社(KBS)から第7回海外同胞賞「産業技術部門」を受賞しました。
これは毎年、全世界で5人しか選ばれない賞で、大変名誉に思っております。
また、私の生まれ故郷である済州道の国立済州大学校からは、名誉工学博士号をいただきました。

これは大変うれしかったです。というのも、今私どもが手がけている機械翻訳というのは、学問的な積み重ねが必要な分野です。
日本でも韓国でも、大学や様々な研究機関で機械翻訳の研究を続けています。
それを民間の一企業が手がけ、商品化して一定の成功を収めた部分を評価していただいたわけですから。
私としては、勉強を続けたくても続けられなかった若い日の「恨」が、やっと解けたような思いです。

今後、2002年のサッカーワールドカップ共催を筆頭に、韓国と日本の距離はますます狭まっていくことを確信しています。
その分野で私たちが貢献できる 部分はますます増えつつあります。
私自身は、高電社内で20世紀中の引退を宣言しているのですが、社員からは「日韓翻訳ソフトの辞書登録を続けてくれ、
いや、あの世からもインターネットでデータを送信してくれ」といわれています。

年のせいか、朝4時頃に目が覚めてしまいます。起きるとまずメールチェックをして、それからアジアの様々なホームページを見ます。
それらを翻訳しながら見ていると、次から次へとアイディアがわいてきて、
もっとやるべき仕事はあると、まだまだがんばらなければならないと、意欲がわいてきます。