『在日徒然抄』 (1) 鄭 煥麒 名誉顧問
   
ざいにちつれづれしょう
在日徒然抄
河出書房新社
初版発行
2002年 10月10日
はじめに
本書は私にとって第5冊目の著書である。

この本に収録されているエッセイは、新聞社や雑誌社から依頼され、それに応じえたものである。

 執筆にあたっては、折に触れ、心に感じたことを率直に書き綴った。
本 書の刊行にあたり、特に印象に残っているのは、収録作品のうちでも、「民団新聞」連載の50篇が他の作品と一緒に
収録されている。

1999 年3月から毎週1回連載したいがどうか、と編集部からの依頼があった。
しかし、以前、雑誌に書いたエッセイを読んだ読者から感想文をいただき、
自分が生きた長い人生の間に蓄えた知恵や経験が、彼ら になんらかのインパクトを与えたことを知り、
「亀の甲より年の功」だと思い身の引き締まる思いで新聞社のエッセイ執筆の依頼を受けることにした。

新聞の連載という性格から、途中、何度も苦しい思いをして「もう打ち切ろう」と弱気になったこともあった。
そんな時、読者からの「参考になる」「面白かった」という手紙に励まされた。
そして新聞社から「人気があるので続けてほしい」と言われ、とうとう100回の長期連載となってしまった。

連載が終わったのは、なんと2001年の6月だった。

われながらよく続けたものと驚いているが、正直なと ころホッとした。
本書をお読みいただいて些少なりとも、私の真意をお汲 み取り頂ければ、望外の喜びである。