1963年の白山(御母衣ダムから岩間温泉へ)

 大学2年の10月(1963年10月)同期と2人で白山に登った。本文は写真を見ながら当時を思い出して2017年に作成したものである。前夜発の夜行列車の寝不足がたたって、白山室堂までの登りの辛かったことが思い出される。

コースは、
①前夜発→美濃白鳥→御母衣ダム→平瀬→大白川経由→白山室堂、
②室堂→(石徹白道)→別山→(石徹白道)→室堂、
③室堂→白山→(清浄が原経由)→岩間避難小屋、
④避難小屋→岩間噴泉塔→避難小屋→新岩間温泉→鶴来→金沢→夜行で帰宅

第1日目(晴れのち曇り)
 美濃白鳥で金沢行きのバスに乗り、ガラガラだったので一番先頭の席に座る。その頃はまだ珍しかったロックフィルダムの御母衣ダムを見たいので、運転手さんに、「よく見えるところがあったら教えてくれ」とたのむ。停留所名に「洞」がつくところが多い。

 御母衣ダムの真正面に向けて下ってゆくところで、運転手さんがバスを止めてくれた。「ここが一番よく見えるところだ」とのこと。思う存分写真を撮った。ロックフィルダムはかなり傾斜のゆるいダムだった。

 平瀬で下車。今日はここから大白川沿いに歩いて、大倉尾根を登って室堂の無人小屋に泊まる予定だ。歩き出す前に、かなり急な階段のある神々しい神社に登って登山の無事を祈った。下には大きな合掌造りの民家が見えた(写真02)。

写真02 平瀬の神社より合掌造りを見下ろす

 ここから砂利道の林道を延々と歩く。空も本格的に曇ってきた。白水の滝展望台への分岐もあったが割愛して先を急ぐ。いよいよ大倉尾根の登り口に着いた。急な山道を黙々と登る。大倉山を過ぎたあたりから雨になった。雨具を着て登る。こんどは汗が発散せず暑い。まだまだ急な登りが続く。もうフラフラになったころ、室堂平に飛び出した。

 室堂平には小屋が一杯あるのでどれが登山者に解放されている小屋かを探すのが大変だった。どうやら見つけ、中に入ったら2組ほど入っていた。もう薄暗くなってきたのでまず飯つくりにかかった。飯を作りながらお互いに情報交換。
 今日別山を越えてきたというパーティーの人は、道が悪い上にアップダウンが多いので、よほど眺めが良い日でなければ、骨折り損のくたびれもうけだという。

第2日目(曇り:霧)
 朝起きたら曇り。かなりの濃霧に包まれている。別山に行くかどうか迷ったが、山の案内書によると「晴れれば眺めの良い道だ」との誘惑に負けて出かけることにした。最初は南龍ケ馬場まで300mも下る。もったいない。

 そこからまた登り返して尾根筋に出る。尾根道に出ると小さなコブが沢山あり、アップダウンの連続。おまけに道も悪く、霧にまかれたままなので全然面白くない。別山なんかに来ないで白山頂上で遊んでいればよかった。不平不満だらけで室堂の小屋に戻った。途中から雪になった。

第3日目(晴れ)
 朝起きたらかなりの積雪になっていた。まるで冬山のようだ。今日は岩間温泉に下るので、行程が長い。朝飯を素早くすましキスリングを背負って出発した。積雪は15cm程度か。ラッセルに時間が取られるほどではない(写真04)。

写真04 まるで冬山を登るようだ

 やっと白山頂上(御前峰2702m)に着いた。白山奥宮にお参りする。右に剣ヶ峰、左に大汝峰が立ち、その間に池が散在している(写真06)。急な斜面を下り、池の間を歩いて、大汝峰に向かう(写真08)。

     写真06 白山頂上から見た火山湖

 写真08 大汝峰に向かう道

 大汝峯を越えて七倉山まではかなり下る。また登り返して七倉山についた。ここからはルートを真北にとって、左側のゆるい傾斜の清浄が原を眺めながら、岩間温泉に下る。最後は長い急なくだりでいいかげん嫌になったころ、岩間避難小屋にたどり着いた。

 着いてびっくり。小屋にはかけ流しの温泉がついていた。無人小屋で温泉とは夢のようだ。小屋の前の沢にも河原から湯が湧き出していて、河原の湯を楽しむことができる。たっぷり湯を楽しんでから、ゆっくり夕食を作った。避難小屋には地元の山岳会の例会で20人ぐらいの人が来ていたが、何をするにも我々2人分のスペースを確保してくれた。

第4日目(晴れ)
 小屋に荷物を置いて空身で岩間噴泉塔を往復。かなり悪い道をおおむね水平に進み、最後は急傾斜の斜面をジグザグに下って川に出たら、あった。2m程度の噴泉塔で、頭から勢いよく湯を吹き上げている。今まで見た噴泉塔は、「昔は湯を噴いていた or 湯が湧き出ていた」というだけで、頂上から実際に湯が噴き出している噴泉塔を見たのはこれが初めてだ(写真10)。

写真10 岩間の噴泉塔(湯が噴き出している噴泉塔は少ない)

 避難小屋に戻り、キスリングを背負って、バスが来ている新岩間温泉まで紅葉の林道を歩いた(写真12)。この後は、バスで鶴来へ、電車で金沢へ、夜行列車で上野へ。

 写真12 新岩間温泉への林道

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