| ハイランド・パイプに関するお話「パイプのかおり」 |
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第5話(2002/7&2003/3) シンセティック・チャンター・リード とっくの昔にプラスティック製のものに取って代わられているプラクティス・チャンター・リードに続いて、今やケーン・ドロ−ンリード・リードはほぼ全面的にシンセティク・ドローンに置き換えられた感がありますが、はてさてチャンター・リードについてはどうなんでしょう? ところが、あるんですね〜。世の中にはそんなものが。 説明文の中には、私が前回のエッセイで書いたようなケース、つまり「結婚式などで演奏するときに、本番でちゃんと演奏するために寒い室外でウォームアップしていても、肝心の本番では室内の暖かい空気でリードが変調を来して大恥をかく!」ってような、多くのパイパーが遭遇する災難についても、このリードがあれば万事解決する!ってなことが書いてあります。いつも大恥をかき続けてきたあるパイパーはこのリードに出会って嬉し涙を流した、とも…。う〜ん、まるで私のことを言っているのかな?とも思わせる記述。 これは、是が非でも手に入れなければなるまいぞ。 リードには easy, medium, hard, の3種類の堅さがあるということなので、一応一つづつ注文してみました。しかし、品物が到着して試し吹きしてみたところ、どれもケーンのリードに比べたら格段に吹き易いのです。どちらかと言うと柔らか過ぎるって感じ。特に最も柔らかい easy は柔らかすぎて音色もチャルメラの様でとても使い物にはなりません。 ただ、ケ−ンリードとは全く異なった「柔らかいのだけれど極端に裏返ったりはしない」というその吹き易さは、これまでちょっと体験したことのない《異次元の世界》です。 ケ−ン・リードだと、いかにも「リードの叫びで空気を引き裂きつつ、吹き倒す〜っ!」って感じで、ピーブロックを1曲演奏し終わるころには「魂があちらへ飛んで行ってしまう〜!」っていうような得も言えぬトランス状態に入る事が往々にしてあるんですけど(単に血中酸素量が減少して、一時的な脳震とう状態になるだけか?)、このリードだと多分そうはなりそうにない。 しかし、とにもかくにもその扱いの超イージーさには感心させられます。このリードとシンセティック・ドローン・リードとが一旦ビシッとチューニングされてしまえば、長時間の演奏中はもとより、「しばらく休憩した後におもむろにパイプを取り上げて演奏し始めても、休憩前のままにチューニングが狂っていない!」な〜んて、ケーンのリードでは絶対に考えられないことが起きてしまう。
そこで、私はこのシンセティック・チャンター・リードともう少し極めてみようと思い、新たに5個のリードを注文することにしました。
どういう事かというと、シンセティク(プラスティック)な素材を使っていながらも、クローズアップで見てみるとリード板の先の方はケーンのものと同じように一つ一つ削って仕上げられているんです。シンサティック・ドローン・リードとは違って要は一つ一つが手作りな訳です。ということは、つまるところは個体によって微妙な音色の違いがあるのではないか? と推測される訳ですね。 同じようにプラスティックで出来ているプラクティス・チャンター・リードの場合も同様でした。この場合はリード板は薄いプラスティック板で先端部がほんの少しだけ削られている程度の単純な構造なんですが、10個取り寄せると10個全部の音色と吹き易さが違っていたものです。 より個体差が大きいケーンのリードの場合には最低10個は注文してその中から吹きやすいものを選ぶって感じですが、なんせシンセティック・リードはケーン・リードのほぼ数倍の1個34ポンド(最近のレートでおよそ8000円!)もするので、まあ5個がいいところでしょう。 ところで、私が現在も使っているプラクティス・チャンター・リードを入手したのは、東京パイピング・ソサエティーに入って間もない頃ですから、既におよそ25年は経過していると思いますが、驚くべきことに経年変化といえるものは全く見られません。つまり、その寿命は殆ど半永久的と言って良い程です。 さて、手元に届いた5個の medium のシンセティック・リードを一つ一つをチャンターに装着して演奏をしてみると微妙な個体差が明らかになり、その内一つがベストのようでした。その個体はピッチも安定していて、最初に購入した medium と hard の中間適度の堅さがあるので、少々のことでは裏返りません。かといって hard のものほど辛くは無いし…。 そこで、 その後さらに hard のものを3つ購入。とりあえずその内一つに少しだけ紙ヤスリを当てて微妙に堅さを調整し、音質&音程と堅さが上手い具合にバランスしたリードを実現しました。音程的にも音質的にも、やはり hard 以外は今一つというシンセティック・チャンター・リードの現在の状況下では、どうやらこの方法が最もお薦めのようです。 |
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