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●第1回インタビュー
J:こんにちは、森さん。森さんが是非会わせろって言ってた美人インタビュアーのIさんを連れて来ましたよ。
I:こんにちは、Iです。
M:こんにちは。どうも、Jailbirdさん。じゃあね。(シッ、シッ…)
I:では、早速、お名前から。
M:パイパー森です。でも、他にもモリス森とか、スティック森とか、タイチョウ森とか、シャキット森とか、ハンサム森とか、ダンディ森とか、あと…、
I:あ〜っと、もう結構です。ホントに自己顕示欲が強いんですね。
M:そんな訳じゃないですよ。あちこちの掲示板でみなさんから呼ばれるままに名前を付けてるだけですもん。
I:ところで、Jailbird さんのサイト、Songs & Tunes に専用のコーナーをもっていらっしゃるくらいですから、Jailbird さんとは古くからのお知り合いなんでしょう?
M:ええ、今年3月から…。実際には会ったのはまだ3回ですけど…。(このインタビューが行われたのは2001年9月初旬のこと。)
I:え〜っ、じゃあ、まだ半年も経ってないんじゃないですか。3回しか会って無い? それにしては、お、大きな顔を…。
M:いや〜、そんなつもりは無いんですがね。単なる居候ってとこですから。
I:そんなつもりが無くて、あれだけ大きな顔ができればスゴイですよね。ところで、Jailbird
さんとはどういうきっかけでお知り合いになったんですか?
M:Songs & Tunes の掲示板 Talk & Talk(現在は閉鎖)にカキコミしたんです。
I:へ〜、そんな簡単な出会いで、専用コーナーまで作ってもらうようになったんですか?
M:いや〜、Jailbirdさんってホントに良い人でね〜。(ポリポリ)アハ、ハー。
I:よほど印象的なことを書いたんでしょうね。
M:メロディオン米山さんの掲示板を読んでたら、たまたまここでフェアポート・コンベンションのミート・オン・ザ・リッジって曲のことで盛り上がっているってことを知って、「私が持っているファエポートの30年前のレア録音テープにはその曲が入っている。このテープは1977年にイギリスに行った時にシャーリー・コリンズからもらったものだ。」って書いたんですよ。
I:え〜、なんかすっごくミーハーな書き方ですね。
M:私、ミーハーですから。でも、それに大げさに反応する方だってミーハーだと思わない?
I:まあ、それもそうですけどね…。
M:さらに続けて、「その時に録音したアルビオン・ダンス・バンド“The Prospect Before Us”時代のライブ音源もあるよ。それにはシャーリー・コリンズがゲストで歌ってるし、アシュレイとシャーリーの日本のトラッド・ファンに向けた肉声メッセージも入っているんだよ〜。」って書いたら、Jailbird さん、殆ど悶え死にそうになってた…。Jailbird さんだけじゃなくて掲示板に衝撃が走ったね。あちこちから、「なんじゃそれは〜! オレにも聴かせろ〜って。」
I:私にはちっとも分らないんですけど…(注1)。でも、オジさんたちにも結構ミーハーって多いんですね。
M:うん、そうだよ。まっ、とにかく20年以上もお蔵入りだったそんな音源が一躍「お宝」扱いになってしまったので、私、すっかりいい気になっちまって、「これでもか〜!」って感じでいろんなお宝音源を一度に蔵出ししたら、Jailbird さんが「参りました、どうぞ私のサイトを使って下さい。」って…。あっ、ちょっと飛躍し過ぎてるな。まっ、いっか。
I:まるで、水戸黄門の印篭のノリですね。
M:とにかくその時の掲示板は「森火山の大噴火」って言われて凄かったんだ。米山さんのところや、掲示板を始めたばかりの小泉さんのところでも同時噴火してたからね。
I:やっぱり、かなり自己顕示欲が強いと見ましたが…。
M:う〜ん、単なるミーハーなんだけどな。つまり幼いってことか…。なんか、Jailbird さんのインタビューと同じ展開になってきたな。マズイな。
I:あ〜、あの、ご自身で幼いって言われる通りで、森さんって御髪を除けば一見お若そうに見えるんですが、結構昔にイギリス旅行されているというと割とお年を召していらっしゃるんですね。
M:ええ、イアイン・ダル・マッカイの没後200年目の生まれ代わりですから、
I:えっ? M:すいません、ついピーブロック暦を使ってしまいました(注2)。つまり1954年9月生まれですから、もうすぐ47歳です。
I:じゃ、確か先程名前の出たメロディオン米山さんとはお近いですね。
M:ええ、一つ違いですね。彼とは20年以上の付き合いです。
I:それはまた、Jailbird さんとは対照的に古くからのお友達なんですね?
M:私がやっていたブリティッシュ・トラッド愛好会っていう集まりに、米山さんがいきなりメロディオンを担いで演奏しに来たんです。それ以来って訳。
I:あの〜、その愛好会ってどこでやっていたんです?
M:渋谷の道玄坂にブラック・ホークっていう喫茶店がありまして、
I:あっ、私、その店知ってます〜。
M:えっ?
I:いえ、そのお店があった頃はまだ私子供でしたからもちろん行った事がある訳では無いんですが、2年程前に中川五郎さんって方が書いた「渋谷公園通り」(1999年/KSS出版)っていう小説に出て来ましたよね。70年代の渋谷公園通りを舞台にした青春小説。
M:ああ、そうそう。あれ、あのとおりだったの。なんとも懐かしかったね。中で主人公が女性の編集者を連れてブラック・ホークに行くシーンがあるけど、渋谷って街の雰囲気、そして、道玄坂やブラック・ホークの雰囲気ってまさにあの通りだったんだよね(注3)。
I:なんかレトロでいいですね。
M:そうそう、今じゃあの界隈はまるでケバい風俗街になっちまったけどね。「喜楽」っていう美味しいラーメン屋さんとか「ムルギー」っていう変なカレー屋さんなんかもあってね。そういえば、この間,20年ぶりその「喜楽」に寄ってみたら、店構えはすっかり変っていたけど、中のアンちゃんの顔には見覚えあったよ。
I:青春の思い出の場所ですね。
J:なんか、お二人、世代が違うのに良い雰囲気で話が盛り上がってますね。
M:あれ、Jailbirdさん、まだ居たの?(シッ、シッ…)
I:それで、それで、
M:その小説にもあったようにそのブラック・ホークってのは、元々ジャズ喫茶だったところが、徐々にロックも聴かせるようになった店で、いうなれば日本のロック喫茶の草分けって訳だ。
I:ロック喫茶? ディスコとかクラブとは違うんですよね。
M:う〜ん、その〜、え〜、もっと暗いんだな〜。照明がって訳じゃ無くて、雰囲気が。
I:何するんです?
M:座ってコーヒー飲むの。たばこ吸いながら。で、音楽が流れる訳。
I:それで面白いんですか?
M:いや、別に。
I:じゃ、一緒に行った女性なんかとおしゃべりしたりとか?
M:店内ではおしゃべりはしちゃいけないんだ。
I:エッ…?
M:そうなの。
I:じゃ、なにが楽しみで行くんですか?
M:だから、音楽を聴きに行くんですよ。
I:ただ、ただ、黙って?
M:そう。平均して2、3時間。時にはもっとね(注4)。
I:エーッ! ウッソー!
M:だから、暗いって言ったでしょ。まあ、その辺のことについては、ブラック・ホークのレコード室担当で我々に選りすぐりの音楽を紹介してくれた、日本のトラッドファンの恩人、故松平稚秋さんの追悼文に書いてあるから、それ読んでみて。ちょっと、しんみりしちまうけどね。
I:でも、そんなおしゃべりをしちゃいけないお店で、どうしてそんな愛好会を開催することになったんですか?
M:話せば長くなるけど…。さっきも言ったように私は1977年にイギリスに旅行して、現地でいくつかのステージを見たんだけど、その中にさっき話しの出て来たアルビオン・ダンス・バンドの公演があった訳(注5)。まあ、その当時のブリティッシュ・トラッドファンにとっては最高にあこがれのバンドだね。そして、帰ってからその時録ってきたテープを松平さんなんかに聴かせたんだけど、「こりゃ、ズゴイ! ぜひ、店に来るトラッド好き全員に聴かせたいな〜。」ってことになって、ブラック・ホークとしては初めての試みとしてテープコンサートを開催することになったんです。
I:大勢集まったんですか?
M:いつもは閑散としている席数50程のブラック・ホークがぎっしりと満席になったんですよ。
I:え〜、なんだたったのそれだけなんですか?
M:いや、ホントにそれってスゴイことだったんだ。私自身、その当時、自分以外にトラッドファンがそんなに居たなんて思ってもみなかったし…。
I:ふ〜ん、そんなもんなんですか。トラッドってマイナーだったんですね。それで?
M:それで、「トラッドを好きな人がこんだけ居るのなら、愛好会を設立しよう。」ってことになって、1977年の8月に「ブリティッシュ・トラッド愛好会」ってのを立ち上げたんだ。それから、お店が一番空いている日曜日の午前中に毎月一度定例会を開催するようになったという訳だね。
I:定例会って,どんなことをされていたんですか?
M:イングランドやスコットランドとか,女性シンガーとか,マーダー・バラッドとか言う風に地方別やジャンル別の特集,あるいは新譜紹介なんかをやっていましたね。どちらにしても,解説付きでレコードを聴くっていうのがメインでした。
I:なんです,その「マーダー・バラッド」ってのは?
M:あ〜,殺人をテーマにしたバラッドですよ。バラッドにはさまざまなジャンルがあるんですが,殺人をテーマにしてものだけでも一つのジャンルになるんですね。
I:へ〜,バラッドって怖いんですね。
M:それから、会の発足に合わせて“OAKーBritish Trad Reviewー”っていう機関紙を創刊したんだ。
I:なんかエラそうな名前ですね。
M:本質的にカッコ付け屋ですから。
I:ところで,定例会では生演奏はなさらなかったのですか?
M:最初は演奏する人はごく少数でした。第一,今みたいにトラッドで使う楽器が簡単に手に入るって時代じゃなかったんだ。例えばバウロンなんて今ではアイリッシュやる人ならだれでも叩くけど,当時は本物を見ることすら出来なかったんだからね。あの頃はあのBodhranっていう綴りを「ボーラン」て読んでいたんだけど,ある時なんか段ボールの箱を叩いて「ダンボーラン?」なんて言って大受けしたって時代だもん(注6)。
I:うわ〜、クッサ〜! なんかホントに大昔って感じですよね〜。
M:今じゃ,東急ハンズで1000円で売ってるティン・ホウィッスルだって,多分日本で最初にトラッドファンの前で演奏されたのは,私がその時にイギリスで購入してきたものが最初じゃないかな〜。
I:みなさん,ご苦労なさってたんですね〜。
M:でも,定例会を重ねる毎に徐々に演奏する人も増えてきて,それが毎回の楽しみになってきました。メロディオン米山さんなんかもその内の一人ですね。米山さんが我々の前でいきなりメチャ巧みにメロディオンを弾き倒したときの衝撃は今でも忘れられませんよ。あれは確か1980年頃のことだったと思うけど…。
I:じゃあ、パイパー森さんがバグパイプを始められたのはその頃なんですか?
M:えっ、その辺りのことは「パイプのかおり」第3回に詳しく書いてあるのですけどね〜。あなた、まだ、読んで無いの?
I:すいません、実はまだなんです。
M:それって、ちょっとヒドイんじゃない? インタビュアーのくせして。
I:だって、実は今日はJailbirdさんに「あるオジさんが君にとても会いたがっているんだ。悪いけど適当に相手してやってくれ。」って言われて何も分らないまま無理矢理連れてこられたんですもん。
J:Iさん、Iさん、もうそろそろ時間だよ。電車が無くなっちまうって。
M:う〜ん、そういうことだったのか…。でも、まっ、いっかー。十分楽しめたから。今日はどうも、遠路はるばるありがとさんでした。でも、今度は、私の書いた文章を読んで来てくださいな。
注1:マニアにとっては基礎教養であっても、さすがに20歳台前半のインタビュアー嬢にはキツかったようだ。もっとも「知ってる知ってる」と頷かれても、それはそれで今度は森さんがアタフタしてしまうかも。
注2:もちろん、そんな「暦」は森さん以外には通用しない。スコットランド人のバグパイパーにも通用しないと思われるので、うっかり口走らないようにご注意を。
注3:ちなみに僕(Jailbird)は数年後に大学へ通うため上京したが、もちろん飲んだくれているばかりでそういう店には一切出入りしなかった。その頃は、まだまっとうな人生を歩んでいたのである。
注4:ジャズ喫茶やロック喫茶というのは基本的にそういうもので、開店から閉店までいる奴も珍しくなかった。
注5:森さん→米山さんルートで音源をいただいたが、とんでもないライブである。人類の宝である。
注6:他にも「ボドラン」とか「ボラン」など、さまざまな呼称があった。まあ、名前なんてそんなもんなのだ。ちなみにダンボーランは意外といい音がする。段ボールとポテトチップスの円筒形の容器(チップスターとかのアレ)があれば、とりあえずパーカッション1セットになってしまうのだ。嘘だと思ったらやってごらん。
いろんなお宝音源:Peter & Cris Coe、Colin Ross & Ray Fisher、Nic Jones、Boys of the Lough、Fairport Convention、High Level Ranters、etc.…
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