パイパー森の音のある暮らし《2004年12月》
2004/12/31
(金)

青春の日々へのフラッシュバック

 今日で、2004年も最後です。

 それにしても最後まで災いの多かった年です。清水寺の住職が選んだ今年の言葉がまさに「災」の一字とのこと。頷けますね。


 さて、そんな腐りきった気分のところに Music Scotland からの定期メールでのお知らせにあった「セール期間は全世界配送料無料!」のうたい文句に思わず触手が動いてしまいました。

 といっても、今のところめぼしい CD も無いので、以前からいつかは買っておかなくてはと思っていたものを2枚注文しました。

 両方とも例の Lismor の World's Greatest Pipers シリーズのもの。Vol.3 Gavin StoddartVol.5 John Wilson です。
 あの“Donald MacDonald of Mor's Lament”の収録されている Gavin Stoddart のものはアナログレコードで持っているのですが、なんせ音質がイマイチ。この人の演奏はやはりいい音質で聴きたいものです。
 John Wilson のものは、これまでこのアルバムにピーブロックが収録されていることを見過ごしていたものです。以前に隊員1さんに教えられて、こりゃマズイと気が付いた次第。収録されているのはこれまた定番の“Glengarry's March”


 しかし、いくらなんでもこれだけじゃ荷物が到着するのをワクワクできないので、何かいいの無いかな〜? とニュー・リリースのカタログを眺めまわした挙げ句に注文したのは“Planxty Live 2004”の DVD でした。

 Donal Lunny, Andy Irvine, Liam O'Flynn, Chisty Moore というオリジナルメンバー4人によるリユニオンコンサートの模様を納めたこのビデオ、いや〜良いのなんのって、なんとも懐かしく、パイパー森の頭の中に30年前の青春の日々が一気にフラッシュバックしてきました。

 オリジナルメンバーによる 1st と 2nd、そして、Donal Lunny Johnny Moynihan に入れ替わった 3rd アルバムまでの Planxty の初期3作が当時のブリティッシュ・トラッド・シーンに与えた影響と衝撃の大きさは計り知れないものがあります。
 つまり、この時 Planxty が提起した、ギターやブズーキなどの弦楽器によってリズムが強調される中、別の弦楽器やイリアンパイプ、そしてホウィッスル等が縦横にメロディーを奏でるといったスタイルの登場により、 Chieftains に代表される従来のアイリッシュのトラッド・グループの定番であった、複数のメロディー楽器を皆ユニゾンで演奏するといった演奏スタイルが醸し出していた 、どことなく垢抜けなく鈍臭いアイリッシュ・ミュージックといった印象が一気に、そして完璧なまでに塗り替えるられたのです。そして、その後、あの The Bothy Band の登場によってこの流れは決定的となり、そして、現在に至るまで数多のフォロアーを生み出し続けているのはご存知のとおり…。

 しかし、人の志向とはワガママなもので、私はその後 Planxty より一層コアな伝統に根ざした音楽を奏でる The Bothy Band の方がお気に入りになってしまい、彼等のアルバムは全て CD フォームで収集し直したにも関わらず、 Planxty の方は以前から持っていたアナログレコード以外は全く持っていませんでした。それは、ある時点から私が何故か Christy Moore のあの妙に余ったるい歌声がどうしても馴染めなくなってしまったことも一つの要因かもしれません。

 しかし、今回、30年の時を経てオリジナルメンバーにより当時と寸分違わぬ演奏が再現されている(それが単純に嬉しい!)この DVD を観て、何とも言えない懐かしさで一杯になりました。
 あ〜、やっぱり Planxty は偉大だ!

 そして、その音楽が耳に入って来た途端に、ブラック・ホークのレコード室のガラスに立てかけられたあのモノトーンの印象的なデザインの 1st アルバムのジャケットを、新しい音楽に出会った感動とともに呆然と眺めている30年前の自分自身の身体の中に、一瞬にして魂が乗り移ってしまいました。


 30年という年月はどちらにとってもそれ相応の年月。私の額がもう《額》と言うのはちょっと憚られる程に広大になったのと同様に、当時は巷のロッカーたちと同様に長髪をなびかせ若々しかったメンバーが皆、限りなくおじさん風な風貌に変ぼうしているのが、なによりもその事を如実に語っています。
 ただ、その歳の取り方は、Christy Moore はつやつやの肌に殆ど坊さん風の頭部、一方、Andy Irvine の髪は当時と同じ長さながらやたらしわくちゃの顔をしているってな具合に、それぞれ様々なのがまた興味深いところですが…。

 そして、現地の観衆にとってもこのリユニオンが懐かしいことであるのは当然の事。その証拠に、会場には私と同年齢と思しきファンたちが大勢詰めかけています。そして、特典映像として収められているコンサートのバックステージを納めたドキュメンタリー映像に登場してくるファンたちが、口々に私と同様に青春の日の思い出を語るところにも強くシンパシーを感じました。


 さて、そんな思いで30年余り前の昔を懐かしんでいる最中、去る26日に私の母校である都立新宿高校の旧校舎お別れ会というイベントが開催され、しばしの間、またまた30年以上前の青春の日々にフラッシュバックすることができました。
 この日はこのイベントの呼びかけ人の一人である同期の仲間に促されるままに、ハイランド・パイプで「校歌」と、そして、実は歴代の生徒たちに校歌よりも親しまれている「六中健児の歌」という2曲を演奏する機会があり、大いに受けを取れたのもまた愉快な体験でした。


 私が週に何度となくブラック・ホークに通い詰めだった学生生活を終えて高校を卒業したのは1973年の事。それは丁度、この Planxty があの衝撃のデビュー・アルバムをリリースした年に当たります。

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