パイパー森の音のある暮らし《2004年6月》
2004/6/5
(土)

至福の25分間

 ハイランド・パイプへの愛あふれるアメリカ人、 Dr. Dan Reid Memorial Recital のチェアマン Ozzie Reid さんからは、その後、1993〜1996年のリサイタルのカセット4巻が約束通り早々に送られてきました。

 カセットとは言ってもその音質は1997年以降の CDシリーズと遜色ない程に素晴らしく、この会場の根本的な音響条件、そして、レコーディングシステムが元々非常に優れているということが再確認できました。


 さて、4巻に収められている計12曲の内容は次のとおりです。

《1993年》
(1)Lament for the Earl of Antrim(16:40)
Jack Lee
(2)My King Has Landed in Moidart(13:20)Roderick J. MacLeod
(3)Lament for the Children(16:44)Bill Livingstone
《1994年》
(4)His Farther's Lament for Donald MacKenzie(17:19)Jack Lee
(5)The Battle of Bealach Nam Brog(10:40)
Roderick J. MacLeod
(6)MacNeil of Barra's March(10:34)William McCallum
《1995年》
(7)Lament for Donald Ban MacCrimmon(20:31)
William McCallum
(8)Lament for The Laird of Annapool(15:35)Bill Livingstone
(9)Lament for MacLeod of Colbeck(17:27)Jack Lee
《1996年》
(10)Ronald MacDonald of Morar's Lament(12:33)
John Cairns
(11)Lament for the Harp Tree(25:38)Bill Livingstone
(12)The Daughter's Lament(13:03)William McCallum

この内、この色で示した曲が、パイプでの完全演奏としてはこれまでまだ私のコレクションに入ってなかった音源です。)

 (2)Bonnie Prince Charlie の 1745年7月25日の(フランスから)スコットランドへの上陸のことを記念した曲で、そのロマンティックなタイトルもあり、コンペティション等で演奏される機会も多いのですが、何故かこれまで私のコレクションに入っていませんでした。非常に印象的な名曲です。

 (3)はこれでこの曲のコレクションは9テイク目になりますが、例の Gavin Stoddart のバージョンに次いで長い演奏時間を掛けて情感たっぷりゆ〜っくり演奏するこのバージョンは、やはり、Stoddart の演奏と同じように非常に強く心に訴えるものを感じさせる名演奏です。

 先日のこのコーナーで「タイトルで泣かせるピ〜ブロック」と紹介した(4)ですが、実際にはこの曲、Lament というよりはどちらかと言うと Salute とい方が似合うようなやけに元気な曲でした。Jack Lee の演奏はいつもながら丁寧でかつ壮大な雰囲気を漂わせていて、それはそれとして非常に印象的。いや〜、これは早速レパートリーに取り入れなくては、と強く感じさせるいい曲です。

 (7)は私がこれまで持っていたピ〜ブロック最長の演奏時間であった Hugh MacCallum によるバージョンの記録(19:49)をあっさりと抜き、とうとう20分の大台を突破してしまいました。いや〜、スゴイ。

 でも、やはりなんといっても今回の最大の圧巻は念願かなって初めて聴くことができた(11)でしょう。一覧で示した通り、噂に違わずこの曲の演奏時間は実に25分以上!です。
 信じられないほど長いその演奏時間にも関わらず、
Bill Livingstone は終始岩の様に安定したドローンノートに乗せて淡々と、かつエモーショナルな素晴らしい演奏を展開します。トリップには最適!


 「ピ〜ブロックはただ長ければいいのか?」という疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょうけど、少なくともパイパー森にとってはそれは正にその通りです。長ければそれだけ長くトリップしていられるからです。…ってのは半分冗談ですが、半分は本音です。

 そういう意味からもこの12曲ってのはスゴイ選りすぐりだよね。だって、この Harp Tree だけでなく、Donald Ban、Children、Antrim、といったこれまでのパイパー森コレクションでも指折りの長時間曲がズラリ並んでいるんだもの。


 ま、この辺のところは、パイパー森のロックミュージックに対する想いと非常に強く共通する部分がありますね。

 レッド・ツェッペリンの“Dazed and Confused”は彼等の1st Album に入っているスタジオ録音バージョンでは6分余りですが、彼等はライブでは延々とインプロヴィゼーションを展開して10数分から、最終的には30分近く演奏してます。私はこれがたまらない。途中で緊張感が緩むような演奏は駄目だけど、そうでなければいつまでも聴いていたいと思わせられます。

 ウェストコーストロックの雄、グレイトフル・デッドの1969年のライブレコーディング“Live Dead”(このタイトルは最高のギャグ!)に収められている“Dark Star”って曲もLP半面全部に渡って延々とギターインプロが展開される曲でしたが、これも好きでした。夏の夜にこれを聴きながらトリップするのが…。


 実は、この Dr. Dan Reid Memorial Recital は The St. Andrews Foundation of San Francisco の主催により毎年サンフランシスコのとある老舗ホテルのボールルームで開催されている訳ですが、それぞれのピ〜ブロックの演奏に対する熱い反応を聴くにつけ、もしかして、聴衆の中には60年代のウェストコーストのヒッピームーブメントのただ中を、ロックまみれになって生き抜いてきたような(パイパー森と同類の)筋金入りの Piob-Rocker が居るのではないか? などと想いを巡らせたりしています。 

 …って、そんな訳ないか…、な?

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