パイパー森の音のある暮らし《2004年4月》
2004/4/29

ピーブロック・チューター

 この春リリースされたばかりで、最新号の“Piping Today”の新刊紹介コーナーにも出ていた、新しいCD付きピーブロック・チューター、Archie Cairn による The “How To”Piobaireachd Manual And CDが、昨日到着したので、一日かけて一通り目を通しました。(もちろんCDに納められている演奏例も聴きながら…)

 一言で言うと「これはスゴイ!」

 非常に高度な内容でかつ懇切丁寧な解説ぶりは、Seumas MacNeilll の(College of Piping の)Piobaireachd Tutor を遥かに超えています。

 ボブさんのピーブロック・フォーラムで、常連の Ron Teague さんが“Archie's MUST HAVE tutor”って書いていた意味が分かりました。
 付属 CD の音源のお陰で装飾音(ゲール語)の発音などがよく分かったのは大きな収穫とはいえ、その他には(私の様にすでにピーブロックにドップリ浸かっている者にとっては)特に目新しい発見がある訳ではありませんが、いたるところでピーブロックに取り組むに当たっての様々な黄金則が繰り返し強調されているので、漫然と手抜きしつつ自己流で取り組んでいる自分としては、改めて身が引き締まる思いがしました。

 ただし、ちょっと矛盾するようですが、この教則本を「全くのピーブロック初心者にお薦めしていいものかどうか?」については少々疑問?です。
 それは、その内容が詳細過ぎる程に詳細だからです。
 初心者がいきなりこの本に取り組もうとすると、のっけからピーブロックの奥深さに圧倒されてしまい、めげるかもしれません。
 でも、これまでにある程度は独力でピーブロックに取り組んでみて、すでにいくつかの壁にぶち当たっているような方にとっては、まさにうってつけの手引書といてるのではないでしょうか。

 イントロダクションの文章中のピーブロックというのは我々のソウルミュージックである。」という言葉を始めとして、隅々から著者 Archie Cairns のピーブロックに対する限りない《愛》がひしひしと伝わってくるこの教則本、取り組む方のピーブロックに対する《愛》の深さが試される本と言えるかもしれません。
 この教則本を最後まで完遂することができるかどうか?によって…。

2004/4/30
(金)

狂熱のライブ

 先日、ボブさんのピーブロック・フォーラムで「The Winter Storm II CDに収められている Michael Cusack の“Beloved Scotland”の演奏が素晴らしい!」話題になっていたので、早速手に入れました。

 その演奏はその通り素晴らしかったのですが、それ以上に私が驚いたのは、このライブ録音における聴衆の熱狂ぶりです。

 (多分、司会者の紹介に続いて)Eの音が会場に鳴り響き渡ると、まるでロックアイドルがステージに登場したときの様な「ワオ〜ッ!」っという歓声と盛大な拍手が沸き上がり、その中で静かにピーブロックが始まる。
 そして、およそ12分間の演奏に静かに聴き入った後、ウルラールの最後の音が終わるとともに間髪を置かず再び盛大な歓声と拍手が沸き起こる。そして、さらに今度はピューッ、ピューッ、と口笛までが鳴り響くのです。

 う〜ん、このノリは一体何なんだ? ここの聴衆には何でこんなにピーブロックが受けるのか?  まるで本当に Piob-Rock コンサートという感じ…。


 このことは実は、これに先立って、“Dr. Dan Reid Memorial Challenge Recital”の数枚のCDに収められている20曲近いピーブロックの演奏を聴いた時にもなんとなく感じていたことでした。

 このリサイタルのCDは臨場感たっぷりで音質が抜群に良いのが特徴ですが、それにしても、各々のピーブロックの演奏の後に沸き起こる聴衆の拍手の熱さがひしひしと伝わって来るのです。演奏によってはやはり盛大な歓声が上がる。

 この“Dr. Dan Reid Memorial”は西海岸のサンフランシスコ、そして、↑の“The Winter Storm”は中西部のカンサス・シティという、いずれも北米大陸でのバグパイプ・イベントって訳。
 大体、ボブさんのピーブロック・フォーラムに集ってピーブロックについて熱く語り合っている人たちも、ほとんどはアメリカ合衆国やカナダなど北米の人たち、ということからも推測されるように、どうも、ピーブロックに関して言えば北米大陸の方が本国スコットランドよりも熱心なファンが余程沢山居るようだ、といことが薄々分かってきました。

 大体、これまで私は在日のスコットランド系外国人(パイパーもノンパイパーも)でピーブロックが好きな人ってのには出会ったことが無い。
 昨年1月にカレドニア・ソサエティの会合で演奏した際に話をした、(日本の)セント・アンドリュース協会の現在のチェアマン(もちろん生粋のスコッチ)ですら、わざわざ「母がピーブロックが好きでいつもラジオで聴いていた。」って言う。「…で、アンタ自身はどうなんだい?」って喉まで出かかったもんだ。(大体、そういう言い草ってのは「ピーブロック」の前になんとなく「俺には全く理解できないあのヘンテコな…」という枕詞が付いているような雰囲気を濃厚に感じさせるんだよね〜。)

 これからは、妙な偏見を持たずに「良いものは良い」とはっきりと意思表示することができる北米のバグパイプ愛好家たちの動向に、要注目!ってことを肝に銘じておく必要があるようですね。


 大体、あのレッド・ツェッペリンだって、北米では熱狂的な支持を受けながら、本国の物知り顔の音楽評論家たちからは、長年に渡って徹底的に叩かれていたんだからね。(ちなみに今回の表題「狂熱のライブ」ってのは、ツェップの1973年マジソン・スクウェア・ガーデンでのライブを中心に描かれた映画“The Song Remains The Same”の日本語タイトル。)

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