パイパー森の音のある暮らし《2004年3月》
2004/3/13
(土)

ピーブロック掲示板

 ボブさんのところピーブロック掲示板が本当に面白い。

 最近の例ではこのトピ
 つまり「結婚式で演奏するのに適したピーブロックは?」というテーマ。

 最初のうちは「〜〜って曲はメロディーが美しいからいいんじゃないか。」といった真面目な書き込みがされていたんですが、ある人が

“Lament for the Union”
“The Bicker”
“Unjust Incarceration”

と書き込んだのにはパソコンの前で思わず大爆笑!(もちろん一人で…)
さらに次の人が

“Too Long in This Condition”
“Unjust Incarceration”
“The Desperate Battle”

と、来た。「アハハ〜!」と思ってたら続けて

“Piper's Warning to His Master”

という書き込み。

 ピーブロックをネタにしてこのようなウィットに富んだ会話(?)が進行するのがなんともうらやましい。
 まあ、ピーブロックについてのかなりの博識が必要とされる特殊な世界ですが…。

 “Unjust Incarceration”という曲は、あの盲目のイアイン・ダル・マッカイの作になる曲で、直訳すると「不公正な幽閉」とでも訳されるのでしょうか、一説には彼の「盲目」である不自由さを表現したともいわれる、なんとも陰うつな雰囲気のただよう(でも、天才イアイン・ダル作の例にもれず素晴らしい)曲なのです。
 そのタイトルの意味するところとともに、結婚式で演奏すれば最高のブラックジョークになるという意味ですね。

2004/3/14
(日)

誰も聴いてくれない

 ボブさんのところピーブロック掲示板についての話題もう一つ。ちょっと前の話題だけど、このトピも面白い。

 「どうして、誰一人ピーブロックを聴こうとはしないんだい?」「ピーブロックを演奏しない人たちはみ〜んなピーブロックを嫌悪するんだ。」ってな嘆き節に対する様々なリアクションが楽しめます。

 この掲示板の常連であるカルフォルニア在住の Iain Sherwood によると、ご当地では、ピーブロックは、例えば仏教徒などのように瞑想を行うような人種に好まれる、ということに気付いたそうな…。挙げ句の果てには「ピーブロックはまるで、《禅》や《道》である。」などという言葉も…。
 Out here in Californica I've discovered that the many of those who meditate, Buddhists, and other contemplative types really like it.  Piobaireachd is very Zen...and Taoist.

 また、ある人は「あるときチベットの修道士に(くだんの)“Unjust Incarceration”を聴かせたら大いに受けた。」などという書き込みも…。

 う〜ん、共感できるような、できないような…?

2004/3/18
(木)

The Lowland and Border Piper's Society

 私が以前、このソサエティー(LBPS)に1年間だけお世話になったいきさつを書きます。

 現在の様にGHB以外の多種多様なバグパイプのリバイバル運動が始まる前の1980年代半ばに Grainger & Campbell というGHBメイカーが、当時としては初めて Bellows blow タイプの Lowland Pipes(ローランドパイプ)をそのカタログに載せました。

 現在はカレッジ・オブ・パイピングの代表を務めている Robert Wallace が当時参加していた The Wistlebinkies というトラッド・バンドにおいてこのローランドパイプを使っていたので、その音色が(スモールパイプとは異なって)基本的にハイランド・パイプと同じものであることを知っていた私は早速 Grainger & Campbell からこのパイプを取り寄せました。

 しかし、ハイランド・パイプに比較すれば小さな音量だとはいえ、スモールパイプ程には小さな音ではない(つまりリードはそれなりに堅い)このパイプをふいごで吹きこなすということは想像以上い難しく、しばらく悪戦苦闘した末に、演奏するのは諦めてしまいました。


 さて、それから15年程が経過した20世紀もいよいよ終わろうかとする頃になると、ヨーロッパ各地では様々なバグパイプのリバイバル運動が盛んになっていました。そして、その中でマウスブローに慣れたハイランドパイパーのために、マウスブロータイプの Lowland Pipes Scotish Small Pipes なども目に付くようになってきました。
 そこで、以前、ふいごの操作でつまづいた私のローランドパイプをマウスブロータイプに仕立て直して再度挑戦してみようと思い立ち、山根先生の力をお借りしてマウスブロータイプにリストアしました。

 さて、そうなるとリードが必要になります。当時(1999年頃)はまだボブさんの掲示板もできていなかったので、ネットでローランドパイプやスモールパイプなどを作っているメイカーをいくつかあたり、その内2人にメールでこれまでの経過を説明しつつ、リードの製作を依頼しました。

 一人は David“Blue”MacMurchie さん。
 MacMurchie さんはなんと私と同じく15年前に同じ Grainger & Campbell  のローランドパイプを手に入れたけど、やはりふいごがだめで、すぐに自分でマウスブローに変えたということ。しかし、それからはずっと放りっぱなしにしていたというのです。
 I also bought a set of Granger and Campbell lowland pipes about 15 year ago. The bag was hopeless and the bellows useless.
 I also changed them to mouth blown but have not played them for about 10 or more years.
 同じ境遇に陥ったもの同士という連帯感もあったのでしょうか、彼はその後、快く私のオーダーに応じてチャンターリードとドローンリードを作って送ってくれました。


 そして、もう一人は Julian Goodacre さん。
 彼はより正直で単刀直入でした。曰く、
  Thank you for your email. I am afraid I cannot help you with reeds for your pipes. And all the news I can give you is not good!
 Grainger & Campbell made these pipes, but they were badly designed and never worked well. Noone could find reeds to work in them, including Grainger and Campbell. They soon stopped making them. In nearly 20 years of pipemaking I have never heard a set that played well.
という次第。…な、なんと。トホホ…。オーマイガ! 

 でも、彼はとても親切で、
  There are now several makers, including myself, who make good border pipes that play well and stay in tune. All these makers also PLAY them.
 I suggest you join The Lowland And Border Pipers' Society- see details on my website.

 …、以上の様ないきさつで、私はそれから程なくして(2000年2月1日付け) LBPS に加入したのでした。(Julian さんとのやりとりは実はこれだけに留まらず、巡り巡ってあの話に続いたのでした。)


 しかし、出来の悪いことが判明した Grainger & Campbell のローランドパイプにはとっくに興がさめていましたし、かといって新たにローランドパイプを入手するほどにはその方面に対する興味もなかったので、私が LBPS に加入していたのは結局最初の一年間だけでした。
 でも、その一年間にA5サイズ50P程に中身がぎっしりつまった“Common Stock”という季刊の機関誌が4冊(当たり前か?)だけでなく、当時世界中に300人以上居た会員全員の情報を納めた Menbership Derectory が送られてきました。
 これは(情報を開示することに同意した)全てのメンバーの住所、電話、Eメールアドレス、パイプやその他の音楽の趣向などが一覧になったもので、近くのメンバーと連絡を取り合うのには非常に有効な名簿だと思います。
 本体はアルファベット順になっていますが、巻末には国や地方別のインデックスもついていました。当時、日本人は私しかいませんでしたが、北米大陸(USA&カナダ)には、50人以上のメンバーがいました。

 また、非常に印象的だったのは、毎年1回開かれるコンペティションの様子を納めたカセットテープがちゃんと日本にまで送られてきたことです。こんなサービスがあるのなら遠距離にいるメンバーでも加入している甲斐があるというものです。
 もしも、ピーブロック・ソサエティーで同様のサービスがあるのなら、すぐにでもメンバーになるところですが…。


 そんなかんなで、カレッジ・オブ・パイピングやピーブロック・ソサエティーの会員になるのと違って、圧倒的にこじんまりとしたこのソサエティーに加入するのは、その方面にまともに取り組もうとする人にとっては非常に有効な手段だと思います。
 まして、最近はボブさんのところもありますし、GHB以外のパイプをたしなむ仲間も急激に増えているようです。このソサエティーに参加してさまざまな楽しみ方ができるのではないでしょうか?

2004/3/21
(日)

ピ〜ブロックはスルメだ

 私にとって、あるピーブロックを最初に聴いた時の印象には二通りあります。
 初めて聴いて直ぐに「こりゃいいや!」って思える曲と、そうでない曲。そして、有名な曲の中には後者のものが多くあります。
 そういった曲はスルメみたいなもので、何度も何度も聴いているうちに味わいが「ジワ〜ッ」っとニジミ出してきて、一旦そうなると麻薬みたいなもので、もうやめられなくなります。

 あの“Lament for the Children”だって、最初は「ただ長いだけ」って感じで、イマイチ、ピンと来なかった。
 でも、今じゃ、あれがなくちゃ生きて行けない。曲としても決して難しくないけど、途中で何度でもウルラールを繰り返しつつ「出来るだけ長く演奏していた〜い」っていう気持ちにさせられる名曲。そして、演奏し終えた時の「身体の中から全ての雑念と雑物が抜けきった!」という例え様の無い《爽快感》。いつ演奏しても逝けます。

 “Lament for Patrick Og MacCrimmon”も当初は最後まで聴き通すのが辛かった。この曲の場合は難解であるということも重なって…。
 ところが、ここでのシェーマスの言葉通り、一旦この曲の良さが分かるようになったらピーブロック道も新たな高みに登ることができました。でも、今だに上手く演奏できない…。
 上手く演奏できないってのは、なんて言うか「曲に振り回されてしまう」っていうのでしょうか、音符どおりに演奏するので精いっぱいで、《表現》ができないっていう感じでしょうか?
 そんな曲が山ほどあります。“Lament for Donald Doughal MacKay”もそう。これも例の Iain Dall の曲ね。

 有名な曲の場合、最初に聴いてイマイチって思っても決してあきらめないで下さい。よほどその演奏が悪い場合でなければいつかきっとスルメの味が出てきます。

 私は Patrick Og の場合はその曲のタイトルに秘められたストーリーに限りないロマンを感じたので《我慢》して聴き続けました。
 Children の場合は誰もが「最高の曲だ」というので《我慢》して聴き続けました。そして、自ら演奏してみて初めてその本当の素晴らしさに開眼しました。

 好みの問題で多少の相違はあるとしても、先人たちの評価に概ね間違いはありません。名の知れた曲にはそれなりの素晴らしさが必ずあると信じ、そして《我慢》も一つのチャレンジと思って、皆さん出来るだけ長くピーブロックを聴き続け、そして何でもいいですから1曲選んで自分で演奏にトライしてみてください。
 きっと、皆さんにも明るい未来が開けることでしょう。

 …って、これじゃまるで《ピーブロック道》の教祖様だ〜!

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