パイパー森の音のある暮らし《2004年1月》
2004/1/1
(木)

シーズニングはいと楽し…

 2004年の元旦はまずは新春初パイピング。曲は Lament for the Earl of Antrim と覚えたての The Battle of Auldearn 。そして、その後、パイプバッグにシーズニングを施しました。


 使うのはパイパーご用達の R.G.Hardie 製“AIRTIGHT”。まずは、缶ごと湯せんして中身を暖めシェイクします。そうしないと、油成分が汚いかすような状態に固まったままで、バッグ内に上手く行き渡りません。

 次にブローパイプ以外のパイプを抜き、ストックにゴム栓をして試しに空気を貯めます。パンパンになったバッグに体重を掛けて押しつぶそうとしても完璧に機密性は保たれています。そうです、別にエアーが抜けるようになったからシーズニングするのではないのです。
 元々、私が使っているカナダ産エルクハイド製のバッグは「シーズニングの必要が無い」と山根先生から伺っています。

 それにも関わらず、私が半年に一回程のインターバルで定期的にシーズニングするのは、革をいつも柔らかい状態にしておきたいから。
 シーズニング液が抜けてきてバッグの内側の革の表面が乾いてくると、革がごわごわしてきてカサカサに乾いた部分が出来たり、水分が溜まりやすいブローパイプ根元のシワシワの部分などは2、3日演奏しないだけでも革同士がバリバリと張り付くようになったりします。

 こういうのはあまり気持ち良くありません。バッグはいつもしっとりと柔らかくなくちゃ。

 暖めたシーズニング液を缶の半量だけバッグの中に入れて、再び空気を一杯に貯め、シーズニング液が移動するチャポンチャポンというかすかな音を確認しながら、シーム部分を中心にまんべんなく液が行き渡るようにバッグをゆっくりと前後左右に回します。
 これは、ちょうど、胃のレントゲン写真を撮影するとき、自分の胃袋の中にまんべんなくバリウムを回すのと同じ要領。検査台に横たわり発泡剤のゲップを我慢しつつ、レントゲン技師の指示に従って逆さになりながら慌ただしく身体をグルグル回すあの辛さをついつい思い出してしまいます。

 バッグ内に十分に液が行き渡ったところで一旦空気を抜き、革自体にもシーズニング液を染み込ませ潤いを与えるため、外側から丹念に革を揉みほぐします。革がじんわりと潤いを帯びてきたかな?ってとこで、しばらくそのまま放置して、シーズニング液の自然な浸透を待ちます。

 その後、再び空気を一杯にしてチャンターストックを下にして逆さに吊るします。バッグの縫い糸の末端はこの時のためにあらかじめループ状に加工されているので、それを壁に取り付けたフックに掛けるのです。私は後のことを考えてこの逆さ吊りはシャワールームの壁に吸盤フックを取り付けて行います。

 しばらくして、余分な液が全て下に下がった頃を見計らい、チャンターストックのゴム栓を抜くと…。ブワ〜ッ!って具合に余分なシーズニング液が吹き出てきます。すぐさまシャワーで流してすっきり。

 後は、各々のストック内壁をウェスで丁寧に拭き取り、ボアオイルを塗って仕上げして、チャンチャン…。

 艶かしい程にしっとりと潤いのある上等なバッグが蘇りました。これで明日から一層満ち足りたパイピングライフを過ごすことができるというものです。


 最近ではゴアテックスなどシンセティックな素材を使ったバッグを使う人が多いようですが、その理由として「面倒なシーズニング作業をしなくてよいから」ということをよく聞きます。
 反面、そのようなシンセティックな素材のバッグではバッグ内の水分の除去対策に苦労されることが多いように見受けられます。

 私は、前者の「面倒なシーズニング作業」っていう捉え方がどうしても理解できません。パイプメンテナンスの中でもリード類の調整などは忍耐と根気さらに一定の技術が必要ですし、時には先が見えない泥沼のような過程に踏み込むこともあります。
 それに比べるとバッグのシーズニング作業ってのは、単純な行程を丁寧に行えば目指す効果は必ず得られる訳ですから、成果が見えやすい。ですから、私にとっては、バッグのシーズニング作業はバグパイプと付き合う上でどちらかと言うと好きな部類の作業と言えます。
 第一、愛情を込めてバッグを「なで回し、揉みほぐし、掃除する」って作業は、まさにバグパイプを愛でるってことを実感できる素敵な行為だと思うのですが…。

 さらに言えば、十分にメンテナンスされた革のバッグはナチュラルな革それ自体が呼吸してくれるので、バッグ内の水分対策に過敏になる必要もありません。ピーブロック数曲分の演奏を終えても、一晩置けば翌日には革は適度な湿り気を残して、余分な水分を外に逃がしてくれています。いつでも演奏スタンバイOKって訳。

 バグパイプのバッグはやはりナチュラルな革製に限る!

2004/1/10
(土)

おとなの
学芸会

 来週末の17日(土)に開催される「おとなの学芸会」という催しに出るので、毎日練習に励んでいます。といっても、割り当てられているのはたったの10分なので、ピーブロックをどうやって短く演奏するか?ってことに悩んでいる訳ですが。

 この催しは私の勤務先の仲間で芸事をやっている人達が年に一回集まって日頃の腕を披露するために開催する演奏会で、今年で5回目だということ。
 私は今回初めて参加するのですが、事前に昨年のビデオを見せてもらったところ、男性や女性のコーラス、そしてそれらが合体した混声コーラスに始まり、ヴァイオリン&ビオラの弦楽2重奏、ギター独奏、レコーダーのトリオ、チェロ独奏、ピアノと歌、そして今流行の二胡のグループやベリー・ダンスなどなど盛りだくさん。
 二胡のグループやベリー・ダンサーたちと職場が一緒だったことがある関係で、彼女らからこの会のことを教えてもらいました。
 参加者の腕前もプロ級から超初心者まで様々ですが、誰もが自分自身のパフォーマンスを楽しんでいて、まさに「大人の学芸会」という和気あいあいとしたその雰囲気がとても好感が持てたので、今年は私も出させてもらうことにしました。

 今年も総勢18の個人やグループが参加するので、予定している3時間を割り振ると冒頭に書いたように各々10分になるって訳です。
 まあ、いきなり違反して20分近いピーブロックを延々と演奏したら、金輪際お呼びが掛からないでしょうから、割り当てに従っておとなしく振舞うつもり。
 まずは誰もが知っている“Amaging Grace”で受けを狙った後、本来11分程かかる“Desperate Battle of the Birds”をところどころ端折りながら短く演奏して、なんとか全部で10分に収めるように練習しています。

 このところ、毎年トリは(当然ですが)ベリー・ダンスと決まっているようで、最後には会場から聴衆みんなを引きずり込んで大盛り上がりする様子が昨年のビデオにも写っていました。
 ベリー・ダンサーたちと同じステージに立つという経験は、3年前の川口神社以来です。楽しみですね〜。

2004/1/18
(日)

おとなの
学芸会2

 楽しかった〜!

 何よりも出演者自身が最も楽しんでいる雰囲気が最高ですね。
 あがってトチッったりするのも良し。アンチョコ見ながら歌うも良し。楽器を始めてまだ間もない人も、長年やっている人も、音楽を楽しむことにかけては皆同じ想い。
 バイオリンを始めて10か月、って人が、ドボルザークの「新世界」のラルゴの部分をソロでギーコギーコと演奏するなんてのもあったりして、本当に微笑ましい。

 私はと言えば、どう考えてもピーブロックが受けるとは思わなかったので、他の事で何とか受けを狙おうと、会場の後ろからマーチしながら登場するという趣向を直前になって思い付き、実行しました。(う〜ん、“Scotland the Brave ”なんて何十年ぶりだろう?)

 さらに、その日になって慌てて練習していった「おじいさんの古時計」をトチリトチリながらも演奏して一生懸命媚を売りました。

 でも、最後は結局ピーブロックで自己陶酔。
 やっぱり、自分自身が一番楽しんでしまった。アハハ。

 困ったのは、その後、会う人毎に「来年はきっとキルト姿ですね。」「学芸会なんだからコスプレも大事ですよ。」と言われること…。ヤレヤレそんな結末になるとは…。トホホ。悲しいかな、良くも悪くも演奏の中身のことなんか誰一人気にもしていない。
 確かに、出演者の中でも特に受けていたのは何らかの形でコスプレに気合いが入っていた方たちでしたね。

 う〜ん、こりゃ、演奏よりもなによりも、来年までには何らかのコスプレ対策を考えなくてはならないぞ。

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