| 先日、所用で北九州市を訪ねました。
北九州市といえば人口100万を超す政令指定都市ですし、製鉄の町(そして、現在ではスペースワールド)というイメージが先行しますが、しかし、それはこの都市の単なる一面でしかありません。
実際には市の中心部からそれ程遠くないところに広大な水田や畑が広がり、市内には至る所に鬱蒼とした木々に覆われた森林公園が点在。さらにちょっと足を伸ばせば標高数百メートルの山地やカルスト台地などが連なり、それらの谷あいには見事な棚田が広がっています。山あいの農村地域ではイノシシやサルの被害が大きな問題というのですからホントに驚きです。
また、壇の浦の合戦の場や厳流島を望む関門海峡の九州側の玄関口として古くから栄えた門司港のウォーターフロントでは、レンガ造りの税関や駅舎など由緒ある建築物が丁寧に保存・整備され、レトロ情緒あふれる市民の憩いの場として、落ち着いた雰囲気の街づくりが行われています。
このように、一般のイメージとは裏腹に北九州市は歴史の厚みを感じさせつつ、水と緑にあふれた、とても居心地のよい素敵な街でした。
さて、そんな自然あふれた北九州市、緑に関する一つの誇れる数字があります。それは、なんと市内に1400haあるという(市町村で?)全国一の竹林面積です。今回はそのことを代表する、筍の産地として有名な「合馬(おうま)」という集落にある竹林公園を訪ねました。
平成13年度に「日本のかおり風景百選」に選ばれたという竹の里「合馬」、その中心に位置する数百種類もの竹の見本園に囲まれた竹林公園のビジターセンターには、様々な竹細工や竹炭などを使ったオブジェ(公園の裏手には竹炭を焼くための立派な土窯が設えられ、竹炭だけでなくイガ栗、ヒョウタンなど様々な素材を飾り炭にして楽しんでいるんです)、エジソンが発明した最初の電球に使われた竹製のフィラメントが実際に発光しているディスプレイなどに混じって、ありました、ありました、アンクルンなどのバリ島の竹楽器が…。
私がその場所を訪ねたのは17日(木)のことでしたが、ちょうどその週末の20日(日)には秋まつりにあたる「竹の里フェスタ」というイベントが予定されていて、ステージイベントも開催されるとのこと。さぞや泥臭く民族色濃いステージが…、と思いきや、演目は子ども神楽、親子三味線、吹奏楽、フラダンス(婦人会!?)等だということを聞き、ちょっと力が抜けました。
でも、素晴らしい竹林に囲まれた芝生広場を目にしたパイパー森の頭の中には、その時すでにこの場所での《お楽しみ》のイメージがすっかりでき上がっていました。
まずは、同じく筍産地として有名な京都洛西を拠点に活動する創作太鼓集団による竹太筒(たけだいこ)の勇壮な演奏を堪能しましょう。
実は私はまだこのグループの生の演奏は聴いた事がありません。今回と同じように数年前に所用で京都を訪れたときに、メンバーの一人、農業を営む齋藤治喜さんと出会ってそのユニークな活動を知り、ちょっとマイナーな楽器を演奏する仲間として意気投合。後日、グループに関する資料や演奏風景を納めたビデオを送ってもらいました(当時はインターネットなどは無かった)。そして、いつかはこのグループにご登場を願うシチュエーションが訪れる機会を待っていたのです。今回はまさにドンピシャのシチュエーション。京都の竹太筒グループとの交流を機会にこの合馬でも、同じように《竹を音で楽しむ》活動が生まれたらと思います。
さて、日本ならではの音を楽しんだ後は、視点をアジアモンスーン(とちょっとその先)まで広げて色々と音を楽しみましょう。
まずは、いつもお馴染みの鈴木エージさん&成田優さんのユニットによるティンクリックの妙なる調べを、優美な踊りを交えて楽しむってのはどうでしょう。さらにエージさんには竹製ディジュリドゥの無気味な唸りの独特の世界を聴かせてもらいます。
ディジュの倍音の世界に浸った後は、直川礼緒さんの口琴&ホーメイのこの世のものとも思えない音色に酔いしれることを忘れる訳にはいきません。
こどもたちは、ポンぴ〜シャカサウンドクラブのブースで様々な楽器を打つ・叩く・はじく・吹く・振る・振り回す、そして、オリジナルの竹楽器づくりにチャレンジジです。
そして、最後はもちろん、地元の伝統芸能「合馬神楽」で締めくくり。
さて、こういうイベントは五感で自然を楽しむことが大事なコンセプトですから、視覚や聴覚だけでなく、味覚、嗅覚、触覚も刺激しなくてはなりません。ほら、竹林の向こうからは、地元の農家女性たちが用意した山の幸あふれる炊き込みご飯が竹飯ごうで炊きあがり美味しそうな香りが食欲をそそります。そして、太竹を軸にして焼かれるバウムクーヘンが甘い香りをただよわせ、やはり太竹をオーブン代わりにした竹パンがふんわりと焼き上がり、石釜ではアツアツのピザが芳ばしい香りを放つ…。ってな所で満足、満足…。
イベントタイトルは「竹の里・合馬の“竹・音・稀”(ちくおんき)」(竹の稀な音を楽しむっていう意味)、キャッチコピーは「日本一の竹の里・合馬は音が香る里。《香音里》合馬(かおり・お〜ま)で、アジアモンスーンの、そして世界の音と味を楽しもう!」ってな感じかな。
以上、例によってパイパー森が考えるとついつい《お楽しみ》の話しばかりになってしまいますね。でも、現実としては、再生が早い《竹》はエコロジカルな素材として注目を浴びる一方、放置された竹林が野放図に繁茂し 続けて周囲の植生に大きなダメージを与えてしまうということも悩みだそうで、確かにそのような放置竹林が樹林を侵食している風景を目にすることもありました。
新しい視点から竹の潜在力に注目して研究・情報交換をしている「竹資源活用フォーラム」という集まりもあるようです。アジアモンスーンの重要な資源である竹の活用策について広い視点から考えてみる姿勢も必要なのでしょうね。
そういえば、竹林公園のビジターセンター前には風を受けるフィンを竹で作ったねじり円筒型の風車(これで発電するんです)なんて奇妙なものがありましたっけ…。
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