ビルマの像使い

 昨日(07.4.29)、NHK総合の「ダーウィンが来た」でビルマの像使いと像の関係を紹介していた。その中にはなかなか示唆に富む良い話があった。像の寿命は人間と同じぐらいなのでペアになると一生添い遂げるとのこと。

 像を森林伐採の巨木運びに使う話なのだが、昼間は労働に使うが、夜はジャングルに自由に放しておく。餌は像が自分で調達する。朝になると像使いが像を探しにジャングルにでかける。1~2時間探せば大抵は見つかるそうである。

 これだけなら像が損をしているようだが、50~60歳ぐらいになり体力が衰えたら、あとは自由に放して余生を楽しめるようにしてやる。そして病気になったり、餌が取れなくなったときは、像使いが面倒を見るとのこと。毎朝河に連れて行って水浴びさせ、人間が体の隅々まで洗ってやるそうだ。像も気持ちよさそうにしていた。

 像もいくつか言葉を持っているので、像使いは像の言葉を使って命令する。「丸太を前に押せ」「丸太を後ろに引け」など。映像では、実によく命令を聞いていた。すごい斜面でも像使いは像の頭に乗り、足や手で像に意思を伝えていた。あれで振り落とされることはないのかハラハラしたくらいだ。重い巨木のときは像が2頭で、かなりの斜面でも巨木を引き上げていた。

 とくに森林管理については示唆されるところが多かった。幹の太さが一定以上のものだけを伐採する方式なので、森林の大部分は残ったままだ。したがって道路は作れない。だから像を使って一本一本運び出すしかない。他国のように機械力を使って、細いのも太いのも伐採し、山を丸裸にするようなことはない。

 一本一本切り出した丸太は川筋に集積しておいて、乾季になったらトラックが川筋を登ってきて丸太を積んで運び出すとのこと。これなら道路を作るために森林をつぶすこともない。よって、野生動物の通道も途切れることは無い。

 これなら、自然が再生できる範囲の木材を伐採するだけなので緑は減らない。うまく考えたものだ。この方式では規模のメリットを追求する工業化社会の要請には沿わないだろうが、地球温暖化が危惧されている現在、大いに参考になる管理方法だ。

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