リニア新幹線試乗

 2003年5月に山梨県にあるリニア新幹線に試乗する機会を得た。場所は山梨県都留市小形山。大月からR139を富士吉田に向かって転がしていけば、田野倉あたりで、谷全体を横切る高架橋が見えてくる。これがリニア新幹線の実験線で、将来は中央新幹線になる予定の磁気浮上式鉄道である。ここに実験センターとリニアー見学センター(写真02)がある。

    写真02 リニア新幹線 山梨実験線の「リニア見学センター」

 実験線は42.8kmあり、そのうちトンネル区間は35.1kmなので、将来の中央新幹線はトンネルばかりとなるのであろう。当方が試乗したときはMLX01系で4両編成だったが、現在は実用量産車L0系の12両編成ですれ違い運転も行っているとのこと。車両基地はリニア見学センターよりも東側の山の中にある。

 見学センターの3Fから見ていると、今日試乗する列車が東側から走ってきて(写真04)、西側のトンネルに消えて行った。この段階ではポイントは本線側に開通している(写真06の黄色線)。次にポイントがホームの側線側に移動して、しばらくしたらトンネルから列車が出てきた(写真08)。

    写真04 R139を跨ぐ鉄橋上を走行するリニアモーターカー

写真06 このトンネルの中へリニア車両が消えて行った(ポイントは黄色線方向に開通している)

写真08 リニア車両がトンネルから出て、ホームのある側線に入る(ポイントは側線方向に開通している)

 2Fの乗車ホームに移動したが、まだ乗車扉は閉まっていて単なる細長い部屋という感じだ。そのうち案内があり、乗車扉が開いて乗車が始まった(写真10)。まさに飛行機の搭乗口そのままだ。乗車というより搭乗と言った方がぴったりする。

    写真10 リニア車両への搭乗口(まさに飛行機の搭乗口と同じ)

 車内で全員が席に座るとJR東海の係員から説明があった(写真12)。シートベルトはないが、走行中は絶対立たないでくれとのこと。通路の上には「現在速度(0km/h)、現在位置(27.63km)」が表示されている(写真12)。左側の画面には進行方向前方のガイドレールの様子が映し出されている(写真12)。期待はいやがうえにも高まる。

          写真12 JR東海係員による説明

 ほどなく出発。リニアは推力が強いのでぐんぐん加速する。座席の背もたれに押し付けられているのが分かる。「浮上走行になりました」と案内があったが、滑らかな氷の上を滑ってゆく感じではなかった。今日の最高速度に達したのは「501km/h、24.93km」だった(写真14)。3km足らずで500km/hまで達するとはすごい。この当時は西側のトンネル内で折り返し運転だったので、すぐブレーキをかけ、トンネル内で運転方向を変えて戻ってきた。

写真14 最高速度501km/hに達したときの表示

 試乗時間は30分程度のものだったが十分に満足できた。列車を降りて出口に戻る通路から、今日乗った先頭車の長い鼻が見えた(写真16)。コンコースに出てから、リニア見学センターの各種展示物を見た(写真18)。

           写真16 リニア新幹線先頭車の長い鼻

        写真18 リニア見学センター内の展示物

 見学センターを出て、リニア実験線の反対側の山に登ると、この付近の実験線の全体像が見える(写真20)。右側が東で、左側が西である。右側の山の向こうに車両基地がある。

写真20 展望台から見える、この付近の実験線の全体像(右:東京方、左:大阪方)

 右側のトンネル入り口に、何かフードのようなものがついているが、これは高速列車がトンネルから出るところで発生する微気圧波の音を減衰させる構造物(緩衝工)である。今ではこの当時より高速になったので、2017.5に撮った写真では、この構造物がさらに長くなっている(写真22)。

       写真22 さらに長くなった緩衝工(2017年5月)

 

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