パリでの戸惑い

(2014年10月)

 パリ・ドゴール空港からRERと地下鉄を乗り継いでパリ19区のホテルに向かった。まずターミナル1からシャトルバスでターミナル3に移動し、そこからRERでNord駅まで移動。RERは、かなり長い距離、地上を走るのに驚いた。ちょうど夕方のラッシュらしく結構混んでいた。
 Nord駅で地下鉄5号線に乗り換え。かなり長い複雑な乗り換え通路を歩いてゆくが、落ち着いて表示を確認しながら行けば分かるようになっている。パリの地下鉄の表示は必ず終点の駅を示すように表示されている。終点の駅名さえ覚えておけば、初めての者でも、所定のホームにたどり着けるようになっている。
 パリ・メトロの列車の運転方向は日本と逆なので、ホームについても日本と反対方向から列車が入ってくるので気をつける必要がある。

     写真02 地下鉄ホーム(前方から列車が来る)
 Jauresで7号線に乗り換え。ここは地下3階から地上2階に乗り換えとなる。銀座線の渋谷のように地下鉄が高架上を走っているからだ。 一駅先のBolivarで降りて今日のホテルに20:00に着いた。

 荷物を置いてから明日に備えて、パリ・リヨン駅まで移動する経路を確かめに出かけた。7号線でJauresまで行き、地上2階から地下3階まで乗り換えて、2号線でNationへ。ここで1号線に乗り換えてパリ・リヨン駅へ。
 ドアの上に取り付けられた表示板に次の停車駅のランプが点滅するようになっているので(写真04)、その表示がパリ・リヨン駅になるまで注意深く見守る。

        写真04 ドア上の駅名表示板

 どういう訳か、列車の進行方向と駅名の移動する方向が逆になっている。反対側のドアの上を見たら、こちらは進行方向と合っている。左右のドアともランプの移動を進行方向に合わせるためには、線路図の図柄を二種類作る必要があるが、一種類しか作っていないのだろう。フランス人のものぐささを物語っているようだ。
 階段を上に移動しなければならないところでも案内表示は下向きの矢印が付いている(写真05)。

       写真06 階段を上る表示が下向き
 フランスでは下向きの矢印が前に進めということのようだ。案内表示は日本の方がよっぽど利用者の立場にたっている。

 地下鉄のパリ・リヨン駅についてから、地下道をフランス国鉄のパリ・リヨン駅に向かったが表示が途中で途切れてしまい、分かりにくい。最後は当て推量で進んだら、20:37、どうやらフランス国鉄のパリ・リヨン駅に着いた。大きなターミナル駅なのでTGVが何本も到着していた。
 出発表示板で明日乗る列車を見つけたが番線が表示されていない。しかたないので、案内所に行き、切符を見せて、「明日この列車に乗るが、この列車の出発番線はどこか」と聞いたら、「出発の20分前に表示される」とのこと。そうか、フランスはというより、ヨーロッパの鉄道は使用番線をその場・その場で決めるのかと一つの発見をした。
 日本では列車ダイヤを作る段階でホーム番線も決めている。これは日本の鉄道がダイヤ通り正確に運行しているからできる芸当なのだということが分かった。日本に欧米の鉄道から視察に来ると、東海道新幹線の東京駅の着発線が6線しかないのに、一日に上下合わせて500本の列車をさばいていることに驚いて帰る人が多い。
 パリ・リヨン駅の第一ターミナルと第二ターミナルを見物してから、また地下鉄で同じルートをBolivarまで戻った。ほぼ同じ通路を通っているのだが、逆方向から進むと全く初めてのような感じがして、確認にえらく時間がかかった。

 翌朝5:45には地下鉄の走る音と振動が伝わってきた。このホテルは地下鉄の真上に建っているらしく、始発近くの運転間隔は約10分だった。

 8時頃から近所の散歩に出かけたら、小学校らしい建物の入り口に校長先生らしい人が立って登校してくる生徒に声をかけているので、その写真を撮ったら、傍にいた若い先生が「写真を撮ってはいけない、その写真をカットしろ」と言ってきたので驚いた。買ったばかりのカメラなので写真の削除方法を知らず、モタモタとカメラを操作していたら、「そのカメラを貸してくれ、私が消す」というので渡したら、テキパキと操作して消していた。CANON のデジカメなのにフランス人でも扱い方を熟知しているのに驚いた。それほど日本製品は売れているのか。
 当方が「この建物は何か」と聞いたら、「それは言えない」との返事が返ってきた。どうみてもありふれた普通の小学校のような感じがするのだが。学校すら撮影してはいけないのか。フランスもずいぶんセンシブルになってきたものだ。この一年後にパリ東部のコンサート会場でISによる無差別テロがあり百人近くの人が殺されたが、今にして思うとその会場からそう遠くないので、すでにこの地域は危険地域に指定されていたのかもしれない。

 また地下鉄を乗り継いでパリ・リヨン駅へ。パリ・リヨン駅には10:05頃着いた。乗車列車は10:41発のアヌシー行きTGVだが、出発表示板にはまだ番線表示が出ていないので、駅のKioskでアイスクリームを食べて時間をつぶし、10:24に再度見に行ったら17番線という表示が出ていた。

           写真08 やっと乗車列車の番線表示が出た

 ホームに行くとすでに列車は入っていて、2階建て車の2階の指定席に座った。いろいろと戸惑いを感じたパリを後にして一路、モンブランの麓の町シャモニーに向かった。

 

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