結婚式の祝辞

以下は当方が新郎側の主賓として出席した結婚式での、当方の挨拶である。 (1993年)

 本日は○○さんと△△さんのご結婚、誠におめでとうございます。
 私は本日の新郎、○○さんと同じ職場で仕事をしている者です。結婚披露宴の挨拶というと当人を褒めなければならないというのが通り相場ですが、私「岩見祐三」は、人呼んで「嫌味言うぞう」といわれているほど、人を褒めるのが苦手であります。

 しかし今日は披露宴なので何か褒めなければならないということで、徹夜で考えてきたネタがないわけではないのですが、先ほど、ご媒酌人の方から、新郎と新婦が何故結ばれるに至ったかのご紹介がありました。そのお話を聞いていてハッとひらめいたものがありますので、その話題に切り換えさせてい ただきます。

 つらつら考えるに、人生には主人公が褒められっ放しという機会が3回あります。最初は結婚式の披露宴です。次は退職するときの送別会です。最後は告別式の弔辞です。最後の弔辞は本人が聞けないのが残念であります。そこで、私の場合は、もうじきくたばりそうになったら「先に弔辞を持ってきてくれ」と親しい友人には頼もうかと思っています。

 それはさておき、本日は結婚披露宴なので褒めなければならない。先ほどのご媒酌人の方のお話によりますと、お二人に、「何故、ゴールインしようと決心したのか」と聞いてみたら、新郎○○さんの答えは「何故だか分からないが、彼女といると楽しいのです」とのことでした。新婦△△さんの答えは、いくつか具体的な理由を挙げておられました。

 新郎○○さんの「何故だか分からないが、うんぬん」という発想方法は、研究者にとって非常に大切な資質ではないかと思います。AだからBであるという極めて理路整然とした論理で研究を推し進めるというのは、一応の素養を身につけた研究者なら、誰がやっても同じ結論にしか到達しません。しかし、「なんだか分からないが俺はこう思うんだ」というところから出発すると、大きな飛躍があり、前人未到の研究成果にたどりつく可能性があります。

 新郎○○さんは研究者として将来を期待されています。「何故だか分からないが、彼女といると楽しいのです」という感覚を今後も大切にして、地に足なんか着いてなくていいですから大いに飛躍して、今後素晴らしい業績を残されんことを期待しています。

 

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